対話の実践力　ケアを極める聞き方・話し方

編集者からのメッセージ

●その人には、まだ語られていない思いがあるかもしれない
　「はじめて、本当の気持ちを話すことができた気がする」。
　対話の場で、ある方が涙ながらに語った言葉です。
　私たちの普段の何気ない会話がいかに一方的なものになりがちなのか、そして私たちがその人の話をいかに聞けていないかを如実に示す言葉だと言えます。厳しい言い方をすれば、目の前にいる大切な人の話を「聞いているつもり」になってはいないかと自戒する必要があるのかもしれません。

●心の中に、いつも「対話」を
　どうすれば、ケアに携わる人やケアを必要とする人が抱える困難を和らげることができるだろうか――本書の企画は、そんな問いから出発しました。
　現場の支援者への取材を重ね、検討を続ける中で見えてきた一つの答えが「対話」だったのです。本書には「こうすれば困難事例は解決できる」という正解は載っていませんが、本書はどんな状況でも前に進もうとする人たちの力になってくれるはずです。
　ケアに行き詰まったとき、壁にぶつかったとき、少し立ち止まって本書を開いてみてください。対人援助に携わるすべての人のバイブルとして、ぜひ手元に置いていただきたい一冊です。