高澤武司遺稿集　鄙の礫

社会福祉政策論の学者生活から退いた後の東北岩手での生活。自らの「孤」と「老い」に向き合いながら、生い立ち、病気、自然、戦争、本、愛犬等々をテーマに独自の視点でつづる。暖かいまなざしの中にも鋭い観察力、時に強い思いが伝わってくる珠玉のエッセイ集。

１　辺境の息　
中途半端な効用について、場所、郷夢の戦中戦後、6月4日に生まれて、「自分史」の罠、小鳥の沢・書斎の窓から、『栗の樹』の記憶のように、再会、田端ふたたび、「田端文士村」という幻、遠い道と賑やかな道、在郷の病院、赤い川　等
２　越境の息
“いたたまれなさ”の遺産、「昭和人」と昭和の謎、呼称のアイロニー、“今わの際”のパフォーマンス、死亡記事と墓碑銘、学歴と資格の裏事情、自分からの自分の距離、「昭和」とは、いつまでのか、なぜ「昭和史」なのか、「石のかたまり」、「武士道」再考、陽明学の魔力　等