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2021年11月13日に長谷川和夫先生がお亡くなりになってから、3年半が経ちました。今でも、日本で一番有名な認知症専門医といえば長谷川先生であり、その功績は認知症スケールの開発にとどまらず、パーソン・センタード・ケアの普及、「痴呆」から「認知症」への名称変更の立役者としても知られます。さらには、自らが認知症になるとそれを公にし、当事者としての声を届けました。
唯一無二のスーパードクターなのに偉ぶるところはまったくなく、優しくフレンド―で、長谷川先生を思うとき、キラキラした笑顔で「いいねぇ」と言ってくれた優しい声が心のなかにこだまします。
いつも「水平」な関係性を大切にしてくれて、「医者と編集者」「認知症の人と健常者」なんてまったく関係なく、常に人と人とのかかわりでした。長谷川和夫先生に対しては尊敬の念しかなく、今回またこうして長女の南髙まりさんのご執筆で、長谷川先生にかかわる書籍を作れることがとても嬉しいです。
本書を読むとわかりますが、プライベートではユーモアあふれる良き父であり、夫でした。特に長女のまりさんとはなんでも話し合える仲良し親子で、そのやりとりは読んでいて笑みがこぼれます。また、妻の瑞子さんとの毒舌合戦には思わず吹き出してしまうことも(笑)。
一方で、自身が認知症になったことで悩むこともありました。それは病気の症状と言うよりも、周囲との関係性でした。長谷川先生といえども、「認知症の人」として扱われ、壁を感じることが多々あったのです。本書では、こうした認知症の人が感じる「壁」を取り払い、水平の関係性になるヒントを読者の皆様にお伝えしたいです。
認知症の人と接する際に大切にしたいことが、固い文章ではなく、心温まるエッセイで綴られています。ぜひ、多くの皆さまに手に取っていただきたい1冊です。