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祝福と挑戦の人生100年

 人生50年時代から80年時代、そして現在では「人生100年社会」とも呼べる超高齢化少子社会の道を走り続ける日本において、介護は今や新しい段階に突入している。
 本書は、変貌し重厚長大化しつづける介護の現状について考察するとともに、北欧での終末期ケアの実践や、国内外の地域での取り組み事例などを通じて、大介護時代のケアのあり方を提案する。

----------------------- 目次 -----------------------
  • はじめに――大介護時代は「ながら」介護で
  • 第1章 "福祉の国""重税の国"を訪れて
  • 第2章 大介護時代のケアは総力戦
  • 第3章 大介護時代の到来
  • 第4章 家族が変われば介護も変わる
  • 第5章 聞こえてくる希望のささやき
  • おわりに――たいへんですが初代の自負を
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大介護時代は、介護を人々と分かち合い、家族は介護に一定のエネルギーを注ぐとしても、自分自身の仕事と志と人間関係を失わないよう「ながら」介護でいこう、と言える生き方をこの世に定着させたいと思う。定年後にそれぞれがもつ夢を、介護のためにすべて諦めなくてすむように。職場に託した希望と訣別しなくてもすむように。配偶者・子との家族を崩壊させなくてすむように。それには地域だけでなく企業はじめ多くの協力が必須である。

そして、ケアを通して、また新しい出会いがある。老いという弱さを認め合いながら、支え合う方法を、人々をつなぐ方法を考え、見つけることができたら、老いがもつ脆弱性は、社会全体のしなやかな強靱性に転換可能ではないか。そんな希望のささやきを、今の社会の動きの中から、できるだけ聞き取ろうとして書き上げた。その声が本書を通して読者の皆様にも聞こえてくれば幸いである。

――――――――――――――「はじめに」より



樋口 恵子(ひぐち・けいこ)
1932年東京都生まれ。東京大学文学部美学美術史学科卒業。時事通信社、学習研究社、キヤノン株式会社を経て、評論活動に入る。東京家政大学名誉教授。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長。
著書に『女、一生の働き方』(海竜社)、『人生百年 女と男の花ごよみ』(NHK出版)、『祖母力』(新水社)、『私の老い構え』(文化出版局)、共著に『70代三人娘、元気の秘訣』(講談社)、『家族のケア 家族へのケア』(岩波書店)など多数。
大介護時代を生きる 長生きを心から喜べる社会へ
大介護時代を生きる 樋口恵子=著
ISBN:978-4-8058-3751-1 立ち読みする ebooksで購入する 詳細を見る